例えば、目の前にコーヒーカップがあるとします。そのとき、私はその製作者について考えます。製作者が考慮した点はどこか、苦労したところはどこか?製作者はどの角度からコーヒーカップを人に見てもらいたいか。そういった点を考えます。苦労して作り上げたコーヒーカップは彼にとって自慢のコーヒーカップかもしれません。

今のような大量生産できる時代ではなく、一つ一つが手作りであった時代だとすれば、もしかすると彼の家族は彼が作ったコーヒーカップに誇りを持っていて近所に自慢していたかもしれません。「これはうちの息子が作ったものだ」と。あくまで架空の話ですが、コーヒーカップ一つ一つにそういった物語があるかもしれません。それを意識すると目の前にあるコーヒーカップが、ただのモノではなくて、製作者の魂がこもったモノの様にも見えてきます。

そしてコーヒーカップだけでなく、車、建築、服、食器など、あらゆるものには製作者がいます。コーヒーカップそのものは何も語りませんが、モノを見ると、私はいつもその様な感情を抱きます。そこには私と製作者の対話があると思います。製作者が喜んでくれる様な写真、その目に見えない対話や感情をカメラで撮りたいと意識しています。

Eiji Yamamoto Street Photography

 

街を歩いているときに魅力的なものを目にすると、シャッターを切ります。私にとって魅力的なこととは、人々の平和的な楽しい雰囲気、生き生きとした表情、そして笑顔です。たとえ一瞬でも実際に存在していたポジティブな光景の写真を撮り、それを永遠に残したいと思っています。

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私が通りを歩いていると、反対側から2人の女性が歩いてきました。彼女たちはとてもいい表情をしています。一方が話し、もう一方がうなずく。彼女たちと、私。お互いの歩行速度と通過距離、位置を意識して写真を撮ります。そしてその撮影の後、そのシーンは私の後ろに過ぎていき、まるで存在しなかったかのように私の前からは消えます。そんな瞬間をカメラで撮って残しておきたいです。

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衝動的。まさしく衝動的に撮ることがあります。私は何も考えていないというわけではなく、それは自身の最も深いところからあふれてくるという衝動です。その衝動的に撮りたいものが、私の最も撮りたいものだと言えるかもしれません。

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今日、私は美しいものを見ました。それを写真で伝えたい。例えば、良い雰囲気のカップル、楽しそうにかくれんぼをしている子供たち、ベビーカーを押す強そうな父親、かわいい笑顔の老婦人など。言い換えれば、物事を見て、美しいことに感動したとき、私の心は動いています。そしてその時に構図と光を意識します。つまり写真は心と目で撮影されているのかもしれません。

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よく言われますが、被写体を撮影するとき、レンズは写真家の目の延長になり、感情が動いた時は心の延長になります。そしてそれが写真を観る人にも伝われば嬉しいです。

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人々の心を優しくする写真を撮りたいと意識しています。その人物の生活や思考が感じられる写真、人々の心をポジティブに、豊かにする写真を撮りたいです。それらは必ずしも派手な目立つ光景ではなく、ごく自然にある何気ない光景かもしれません。男性は2台のベビーカーをバランスよく押しています。お父さんでしょうか。

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想像力、予想力。ストリートで撮影する時に大切なことの一つかもしれません。子供たちが演奏している時に、観客に親子がいました。子供と親が何かを話しています。その時に、子供がお金を入れるのではないかと想像し、その瞬間を撮りたいと移動して待ちました。果たして、子供が1ユーロを投げ入れています。その硬貨が手から離れる瞬間を意識して撮りました。因みに私の場合ですが、路上で演奏する音楽家を撮るときは、ユーロ硬貨を入れるようにしています。写真は、演奏する子供たち、演奏を聴くベビーカーに乗った赤ちゃん、硬貨を入れる子供です。つまり子供中心の写真です。子供の頃から音楽が身近にあると言えるかもしれません。

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ストリートで撮影するときはできるだけコンパクトなカメラを選んでいます。まだデジタルカメラが一般的でなかったフィルムの時には35mm判やハーフサイズカメラを使用していました。今、デジタルと併用しているフィルムカメラは一眼レフ、レンジファインダーとも35mmフィルムです。デジタル一眼レフは今は使用していませんが、使用していた時はフォーサーズマウントを使用していました。ミラーレスの今の時代はコンパクトで軽いカメラにパンケーキレンズをつけることが多いです。よく使用するレンズは35mm判換算で28mmが最も好みで、24mm、35mm、40mm、50mmを使用しています。望遠レンズの場合は35mm判で100mmの画角までです(50mmのオールドレンズ)。自分の中に流行りがあり、その都度変わります。フォーカスは基本的に中央1点。撮影するテンポを意識してマニュアルフォーカスで撮ることもありますが、大部分はオートフォーカスです。連写はせず、また何度もシャッターを切らず、一枚限りということが多いです。ミラーレスをメインで使用している今2019年では、ファイダーを覗いて撮る、背面モニターを見て撮る、ノーファインダーで撮るの割合は、それぞれ全体の30%、30%、40%といった感じでしょうか。お祭りの時は堂々とファインダーを覗いて撮ります。立ち止まって撮る時はほとんどがファインダーを覗いて撮りますが、歩きながらの場合は立ち止まらず、ノーファインダーが多いです。そのまま後ろに景色が流れていく感じでしょうか。基本的に撮影後の確認は家に帰るまでしません。これを書いている2019年夏、ストリート撮影におけるメイン機種は富士フイルムX-E3にXF 18mm F2.0です。

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